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2008/01/01

「国家の品格」(藤原正彦)

会社からの指令ということで,「国家の品格」(藤原正彦)を読んだ感想を出しなさいということで,まとめあげる。

ただし,その前に私の著者に対するイメージを述べなければならない。学生のころ,彼の著書「父の威厳 数学者の意地」を読んだことがある。その中に,息子の小学校の修学旅行の際に検便を強いる学校側と衛生事情から検便の必要性はないと主張し対立した結果,息子が修学旅行に行けなくなったエピソードがある。つまり筋を通して,父の威厳を守ったのである。自分には,小学校のころ「必ず前日に学校に持っていくのを確かめなさい」という父の指導された翌日の朝,その日の音楽の授業にリコーダが必要だということを思いだし,リコーダをランドセルにいれようとしたときに,父に激しく叱責され登校させてもらえなかった事例がある。これも「父の威厳」を守ろうとした結果であると考える。
そのため,似たような性格の藤原正彦に大変なる嫌悪感を抱いているのが私の 前提にあることを理解していただきたい。

で,読んだ感想(会社には出せないバージョン)。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄」
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     |        |/ ⊃  ノ |   |  藤原 正彦 「国家の品格」
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ここまでひどい本を読んだのは初めてだ。こんなのが,ベストセラーになるなんてなげかわしい。買ってしまった自分も売り上げに貢献してしまっているのが非常に悔しい。

端的に言って,思想が浅すぎる。「なぜ人を殺してはいけないか」という問いに対して 「ならぬことはならぬのです」という価値観を父の威厳で植えつけようとする。それは子供の教育にはいいかもしれないが,大の大人が「ならぬことはならぬのです」のワンフレーズで思考停止してしまうのはどうなのか。
社会科学に関する記述は,自分にはまだそのバックグラウンドがないのできちんと説明できないが,LTCMやエンロンの破綻の原因を「論理」に突きとめすぎた結果だと言いきるところに浅はかしか感じられない。
最後に,「『論理』だけでは世界が破綻する」とある。ここらへんを読んですぐに頭の中に出てきた単語がある。「禅」である。ただ単に,「禅」の思想を新渡戸稲造の「武士道」という書名,「ならぬことはならぬのです」というワンフレーズで述べてしまおうというとてつもなく乱暴な本である。

この本の役割は一つである。古典を読み,街を出て,自分で経験して考える切っ掛けを与えることである。読後,すぐに焼却したってかまわない。また,既に本業が数学ではなく文章家になっているようなので,とっとと大学教授の職を辞して後輩にポストを与えるのが「藤原正彦の品格」に求められているのであろう。

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